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2006年03月09日

■前集91項

天薄我以福、吾厚吾徳以迓之。
天労我以形、吾逸吾心以補之。
天阨我以遇、吾亨吾道以通之。
天且奈我何哉。

天、我を薄くするに福を以ってせば、吾、吾が徳を厚くして以って之を迓(むか)えん。
天、我を労(ろう)するに形を以ってせば、吾、吾が心を逸して以って之を補わん。
天、我を阨(やく)するに遇(ぐう)を以ってせば、吾、吾が道を亨(とお)らしめて以って之を通ぜしめん。
天も且つ我を奈何(いかん)せんや。

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■前集92項

貞士無心徼福。天即就無心処牖其衷。嶮人着意避禍。
天即就着意中奪其魄。可見天之機権最神。人之智巧何益。

貞士(ていし)は福を徼(もと)むるに心無し。
天、即(すなわ)ち無心の処に就(つ)きてその衷(ちゅう)を牖(ひら)く。
嶮人(けんじん)は禍(わざわ)いを避(さ)くるに意(い)を着(つ)く。
天、即(すなわ)ち着意(ちゃくい)の中(うち)に就(つ)きてその魄(はく)を奪(うば)う。
見るべし、天の機権(きけん)の最(もっと)も神(しん)なるを。人の智巧(ちこう)は何の益(えき)あらん。

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■前集93項

声妓晩景従良、一世之胭花無碍。
貞婦白頭失守、半生之清苦倶非。
語云看人只看後半截。真名言也。

声妓(せいぎ)も晩景(ばんけい)、良(りょう)に従えば、一世(いっせい)の胭花(えんか)、碍(さまた)げ無し。
貞婦(ていふ)も白頭(はくとう)に守りを失わば、半生(はんせい)の清苦(せいく)、倶(とも)に非なり。
語(ご)に云(い)う、「人を看(み)るには、只後(ただのち)の半截(はんせつ)を看み)よ」真(まこと)に名言(めいげん)なり。

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■前集94項

平民肯種徳施恵、便是無位的公相。
士夫徒貪権市寵、竟成有爵的乞人。

平民(へいみん)も肯(あえ)て徳(とく)を種(う)え恵みを施(ほどこ)せば、便(すなわ)ち是れ無位(むい)の公相(こうしょう)なり。
士夫(しふ)も徒(いたず)らに権(けん)を貪(むさぼ)り寵(ちょう)を市(う)らば、竟(つい)に有爵(ゆうしゃく)の乞人(きつじん)と成る。

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■前集95項

問祖宗之徳沢、吾身所享者是。
当念其積累之難。
問子孫之福祉、吾身所貽者是。
要思其傾覆之易。

祖宗(そそう)の徳沢(とくたく)を問わば、吾(わ)が身に享(う)くる所の者(もの)是なり。当(まさ)に其の積累(せきるい)の難(かた)きを念(おも)うべし。
子孫(しそん)の福祉(ふくし)を問わば、吾が身に貽(のこ)す所の者、是なり。
其の傾覆(けいふく)の易(やす)きを思うことを要す。

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■前集96項

君子而詐善、無異小人之肆悪。
君子而改節、不及小人之自新。

君子(くんし)にして、而(しか)も善を詐(いつわる)は、小人(しょうじん)の悪を肆(ほしいまま)にするに異(ことな)ること無し。
君子(くんし)にして、而(しか)も節を改(あらた)むるは、小人の自(みずか)ら新たにするに及(およ)ばず。

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■前集97項

家人有過、不宜暴怒、不宜軽棄。
此事難言、借他事隠諷之、今日不悟、俟来日再警之。
如春風解凍、如和気消氷、纔是家庭的型範。

家人(かじん)に過ちあらば、宜しく暴怒(ぼうど)すべからず、宜しく軽棄(けいき)すべからず。
此の事、言い難くば、他の事を借りて隠(いん)に之を諷(いき)め、今日(こんにち)悟(さと)らざれば、来日(らいじつ)を俟(ま)ちて再び之を警(いまし)めよ。
春風(しゅんぷう)の凍(こお)れるを解(と)くが如(ごと)く、和気(わき)の氷を消すが如く、纔(わずか)に是れ家庭の型範(はんけい)なり。

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■前集98項

此心常看得円満、天下自無欠陥之世界。
此心常放得寛平、天下自無険側之人情。

此(こ)心、常に看得(ええ)て円満(えんまん)ならば、天下(てんか)自(おのず)から欠陥(けっかん)の世界無(な)からん。
此の心、常に放(はな)ち得(え)て寛平(かんぺい)ならば、天下(てんか)自(おのず)から険側(けんそく)の人情(にんじょう)無(な)からん。

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■前集99項

澹泊之士、必為濃艶者所疑。
撿飾之人、多為放肆者所忌。
君子処此、固不可少変其操履、亦不可太露其鋒芒。

澹泊(たんぱく)の士(し)は、必ず濃艶(のうえん)なる者に疑われ、撿飾(けんしょく)の人(ひと)は、多くは放肆(ほうし)なる者の忌(い)まる。
君子、此れ処するに、固(もと)より少しも其の操履(そうり)を変ずべからず、亦(また)太(はなは)だ其の鋒芒(ほうぼう)を露(あら)わすべからず。

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■前集100項

居逆境中、周身皆鍼砭薬石、砥節礪行而不覚。
処順境内、満前尽兵刄戈矛、銷膏靡骨而不知。

逆境(ぎゃっきょう)の中(うち)に居(お)らば、周身(しゅうしん)皆(みな)鍼砭薬石(しんべんやくせき)にして、節(せつ)を砥(と)ぎ行(おこな)いを礪(みがき)くも、而(しか)して覚(さと)らず。
順境(じゅんきょう)の内(うち)に処(お)らば、満前(まんぜん)尽(ことごと)く兵刄戈矛(へいじんかほう)にして、膏(こう)を銷(と)かし骨(ほね)を靡(へ)らすも、而(しか)して知らず。
注)砭:いしばり

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■前集101項

生長富貴叢中的、嗜欲如猛火、権勢似烈焔。
若不帯些清冷気味、其火焔不至焚人、必将自爍矣。

富貴(ふうき)の叢中(そうちゅう)に生長(せいちょう)するは、嗜欲(しよく)、猛火(もうか)のごとく、権勢(けんせい)は烈焔(れつえん)に似たり。
若(も)し些(いささか)の清冷(せいれい)の気味(きみ)を帯(おび)ざれば、その火焔(かえん)、人を焚(や)くに至(いた)らざるも、必(かなら)ず将(まさ)に自(みずか)ら爍(や)かんとす

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■前集102項

人心一真、便霜可飛、城可隕、金石可貫。
若偽妄之人、形骸徒具、真宰已亡。
対人側面目可憎、独居則形影自媿。

人心(じんしん)の一真(いっしん)、便(すなわ)ち霜(しも)をも飛(とば)ばすべく、城(しろ)をも隕(おと)すべく、金石(きんせき)をも貫(つらぬ)くべし。
偽妄(ぎぼう)の人(ひと)の若(ごと)きは、形骸(けいがい)は徒(いたずら)に具(そな)わるも、真宰(しんさい)は已(すで)に亡(ほろ)ぶ。
人に対せば則(すなわ)ち面目(めんもく)憎(にく)むべく、独居(どっきょ)すれば則(すなわ)ち形影(けいえい)自(みずから)媿ず。

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■前集103項

文章做到極処、無有他奇。只是恰好。
人品做到極処、無有他異。只是本然。

文章(ぶんしょう)、極処(きょくしょ)に做(な)し到(いた)れば、他の奇(き)有ること無し。只是(ただこ)れ恰好(かっこう)。
人品(じんぴん)、極処(きょくしょ)に做(な)し到(いた)れば、他の異(い)有ること無し。ただこれ本然(ほんぜん)。

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■前集104項

以幻迹言、無論功名富貴、即肢体亦属委形。
以真境言、無論父母兄弟、即万物皆吾一体。
人能看得破、認得真、纔可任天下之負担、亦可脱世間之韁銷。

幻迹(げんせき)を以って言えば、功名富貴(こうめいふき)を論ずる無く、即(すなわ)ち肢体(したい)もまた委形(いけい)に属(ぞく)す。
真境(しんきょう)を以って言えば、父母兄弟を論ずる無く、即(すなわ)ち万物(ばんぶつ)も皆吾(みなわれ)一体なり。
人、能(よ)く看得(みえ)て破(やぶ)り、認めて得て真(しん)ならば、纔(わずか)に天下の負担に任(た)うべく、亦(ま)た世間の韁銷(きょうさ)を脱すべし。

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■前集105項

爽口之味、皆爛腸腐骨之薬。五分便無殃。
快心之事、悉敗身喪徳之媒。五分便無悔。

爽口(そうこう)の味(あじわい)は、皆、欄腸腐骨(らんちょうふこつ)の薬なるも、五分(ごぶ)なれば便(すなわ)ち殃(わざわい)無し。
快心(かいしん)の事は、悉(ことごとく)、敗身喪徳(はいしんそうとく)の媒(なかだち)なるも、五分なち便(すなわ)ち悔(くい)無し。

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■前集106項

不責人小過、不発人陰私、不念人旧悪。
三者可以養徳、亦可以遠害。

人の小過(しょうか)を責(せ)めず、人の陰私(いんし)を発(あば)かず、人の旧悪(きゅうあく)を念わず。
三者(さんしゃ)は、以て徳を養うべく、亦(また)以て害に遠ざかるべし。

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■前集107項

士君子持身不可軽。
軽則物能撓我、而無悠猟団蠻啓顱
用意不可重。
重則我為物泥、而無瀟洒活溌之機。

士君子(しくんし)、身を持(じ)するに軽くするべからず。
軽くすれば、即(すなわ)ち物(もの)能(よ)く、我を撓(たわ)めて、悠猟団蝓覆罎Δんちんてい)の趣(おもむき)無し。
意(い)、用うるに重くすべからず。
重くすれば、即ち我物に泥(なず)まれ、瀟洒活溌(しょうしゃかっぱつ)の機無し。

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■前集108項

天地有万古、此身不再得。
人生只百年、此日最易過。
幸生其間者、不可不知有生之楽、亦不可不懐虚生之憂。

天地は万古(ばんこ)有るも、此の身は再び得られず。
人生ただ百年、この日最も過(すご)し易し。
幸い、その間に生まるる者は、有生(ゆうせい)の楽しみを知らざるべからず、亦(また)虚生(きょせい)の憂(うれ)いを懐(いだ)かざるべからず。

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■前集109項

怨因徳彰。
故使人徳我、不若徳怨之両忘。
仇因恩立。
故使人知恩、不若恩仇之倶泯。

怨(うらみ)は、徳(とく)に因(よ)りて彰(あら)わる。
故に人をして我を徳とせしむるは、徳と怨みの両(ふた)つながら忘るるに若(し)かず。
仇(あだ)は、恩(おん)に因(よ)りて立(た)つ。
故に人をして恩を知(しら)しむるは、恩と仇との倶(とも)に泯(ほろ)ぼすに若(し)かず。

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■前集110項

老来疾病、都是壮時招的。
衰後罪糵、都是盛時作的。
故持盈履満、君子尤兢兢焉。

老来(ろうらい)の疾病(しっぺい)は、都(すべ)て是(これ)壮時(そうじ)に招(まね)きし的(もの)なり。
衰後(すいご)の罪糵(ざいげつ)は、都(すべ)て是(これ)盛時(せいじ)に作(な)せし的(もの)なり。
故に盈(えい)を持(じ)し満(まん)を履(ふ)むは、君子尤(もっと)も兢々(きょうきょう)たり。

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■前集111項

市私恩不如扶公儀。
結新知不如敦旧好。
立栄名不如種隠徳。
尚奇節不如謹庸行。

私恩(しおん)を市(う)るは公儀(こうぎ)を扶(たす)くるに如(し)かず。
新知(しんち)を結ぶは旧好(きゅうこう)を敦(あつ)くするに如かず。
栄名(えいめい)を立(た)つるは隠徳(いんとく)を種(う)うるに如かず。
奇節(きせつ)を尚(たっと)ぶは庸行(ようこう)を謹(つつし)むに如かず。

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■前集112項

公平正論、不可犯手。
一犯則貽羞万世。
権門私竇、不可着脚。
一着則点汚終身。

公平なる正論は、手を犯すべからず。
一(ひと)たび犯さば、則(すなわ)ち羞(はじ)を万世(ばんせい)に貽(のこ)す。
権門(けんもん)の私竇(しとう)は脚(あし)を着(つ)くべからず。
一(ひと)たび着(つ)かば、即(すなわ)ち汚れを終身(しゅうしん)に点ず。

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■前集113項

曲意而使人喜、不若直躬而使人忌。
無善而致人誉、不若無悪而致人毀。

意を曲げて人をして喜ばしむるは、躬(み)を直(なお)くして人をして忌(い)ましむるに若(しか)ず。
善を無くして人の誉(ほま)れを致(いた)すは、悪なくして人の毀(そし)りを致(いた)すに若(しか)ず。

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■前集114項

処父兄骨肉之変、宜従容、不宜激烈。
遇朋友交游之失、宜剴切、不宜優游。

父兄骨肉(ふけいこつにく)の変に処(しょ)しは、宜(よろ)しく従容(じゅうよう)たるべく、宜しく激烈(げきれつ)なるべからず。
朋友交游(ほうゆうこうゆう)の失(しつ)に遇(あ)いては、宜しく剴切(がいせつ)なるべく、宜しく優游(ゆうゆう)たるべからず。

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■前集115項

小処不滲漏、暗中不欺隠、末路不怠荒。
纔是個真正英雄。

小処(しょうしょ)に滲漏(しんろう)せず、暗中(あんちゅう)に欺隠(ぎいん)せず、末路(まつろ)に怠荒(たいこう)せず。
纔(わず)かに是れ個の真正の英雄なり。

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■前集116項

千金難結一時之歓、一飯竟致終身之感。
蓋愛重反為仇、薄極翻成喜也。

千金(せんきん)も一時の歓(かん)を結び難たく、一飯(いっぱん)も竟(つい)に終身の感を致(いた)す。
蓋(けだ)し、愛、重ければ反(かえ)りて仇(あだ)となり、薄(はく)極(きわ)まりて翻(かえ)りて喜びと成るなり。

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■前集117項

蔵巧於拙、用晦而明、寓清之濁、以屈為伸。
真渉世之一壷、蔵身之三窟也。

巧(こう)を拙(せつ)に蔵(かく)し、晦(かい)を用いて明(めい)とし、清(せい)を濁(だく)に寓(ぐう)し、屈(くつ)を以って伸(しん)と為(な)す。
真(まこと)に世を渉(わた)るの一壷(いっこ)にして、身を蔵(かく)するの三窟(さんくつ)なり。

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■前集118項

衰颯的景象、就在盛満中。
発生的機緘、即在零落内。
故君子、居安宜操一心以慮患、処変当堅百忍以図成。

衰颯(すいさつ)の景象(けいしょう)は、就(すなわ)ち盛満(せいまん)の中(なか)に在り、発生の機緘(きかん)は、即(すなわ)ち零落(れいらく)の内(うち)に在る。
故に、君子は安(やす)きに居(お)りて、宜(よろ)しく一心(いっしん)を操(と)り、以って患(うれい)を慮(おもんぱか)り、変(へん)に処(お)りて当(まさ)に百忍(はくにん)を堅(かた)くして以って成(な)るを図(はか)るべし。

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■前集119項

驚奇喜異者、無遠大之識、苦節独行者、非恒久之操。

奇(き)に驚(おどろ)き異(い)を喜(よろこ)ぶは、遠大(えんだい)の識(しき)無く、苦節独行(くせつどっこう)の者は、恒久(こうきゅう)の操(そう)に非(あら)ず。

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■前集120項

当恕火慾水正騰沸処、明明知得、又明明犯着。
知的是誰、犯的又是誰。
此処能猛然転念、邪魔便為真君矣。

恕火慾水(どかようすい)の正(まさ)に騰沸(ふっとう)する処(ところ)に当たりて、明々(めいめい)に知得(ちとく)し、又(また)、明々に犯着(はんちゃく)す。
知るところ、是れ誰ぞ。犯すところ、又、是れ誰ぞ。
此の処、能(よ)く猛然(もうぜん)として念(ねん)を転(てん)ずれば、邪魔(じゃま)、便(すなわ)ち真君(しんくん)と為(なら)ん。

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■後集2項

釣水逸事也、尚持生殺之柄。
奕棋清戯也、且動戦争之心。
可見、喜事不如省事之為適、多能不若無能之全真。

水(みず)に釣(つ)るは逸事(いつじ)なるも、尚(な)お生殺(せいさつ)の柄(へい)を持(じ)す。
奕棋(えきき)は清戯(せいぎ)なるも、且(か)つ戦争(せんそう)の心(こころ)を動(うご)かす。
見(み)るべし、事(こと)を喜(よろこ)ぶは事(こと)を省(はぶ)くに適(てき)為(た)るに如(し)かず、多能(たのう)は無能(むのう)の真(しん)を全(まっと)うするに若(し)かざることを。

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