■前集130項
害人之心不可有、防人之心不可無、此戒疎於慮也。
寧受人之欺、毋逆人之詐、此警傷於察也。
二語竝在、精明而渾厚矣。
人を害するの心は有るべからず、人を防ぐの心は無なかるべからずとは、此れ慮(おもんぱか)るに疎(うと)きを戒しむなり。
寧(むし)ろ人の欺(あざむき)を受くるも、人の詐(いつわり)を逆(むか)うること母(なか)れとは、此れ察(さつ)に傷(やぶ)るるを警(いさし)むるなり。
二語(にご)並(なら)びに在(そん)すれば、精明(せいめい)にして渾厚(こんこう)たり。
「他人に危害を与えるような心を持たず、他人からの危害を受けないような配慮が無くてはならない」という言葉は、思慮が浅い人間に向けた戒めである。
「むしろ、人から騙されても、人の嘘に逆らわない」という言葉は、思慮が深すぎる人に向けた戒めである。
前出の二つの考えがあることを明確に理解していれば大人となれる。
つまり、大人なら、下衆な人間の考える嘘や騙しに、乗らない様にするのが大事で、途中で気付いてバタバタするようでは知者とはとても言えないということ。
言い換えれば、活人は、事の始まる前に、しっかり判断し、事が進みだしたら相手を信じ尽くせということだろう。
慧智(030620)