« ■前集57項 | メイン | ■前集59項 »

■前集58項

人心有一部真文章、都被残編断簡封錮了。
有一部真鼓吹、都被妖歌艶舞湮没了。
学者須掃除外物、直覔本来、纔有個真受用。

人心に一部の真なる文章あり、都(すべ)て残編断簡(ざんぺんだんかん)に封錮(ふうこ)し了(おわ)る。
一部の真なる鼓吹(こすい)あり、都(すべ)て妖歌艶舞(ようかえんぶ)に湮没(いんぼつ)し了(おわ)る。
学ぶ者は、須(すべから)く外物(げぶつ)を掃除(そうじょ)して、直(ただち)ちに本来を覔(もと)むれば、纔(わず)かに真の受用有るべし。

人間には生れながらにして真理が書かれた本を心の中に持っているに、不完全な書物に惑わされている。同様に真理を奏でている音があるにも関わらず、怪しげな歌やエロティツクな踊りに囚われている。兎に角、周囲の邪魔なものを一掃し、直接的に本質を探求すれば、心の中に最初から全てあるので、直ぐにそれを享受できる。
つまり、不立文字・教外別伝・直指人心・見性成仏ということ。
言い換えれば、活人は心眼を得て、真贋は黙って坐れば、ピタッと観抜けるということだ。