« ■後集27項 | メイン | ■後集29項 »

■後集28項

進歩処、便思退歩、庶免触藩之渦。
着手時、先図放手、纔脱騎虎之危。

歩(ほ)を進(すす)むる処(ところ)、便(すなわ)ち歩(ほ)を退(しりぞ)くるを思(おも)わば、庶(ほと)んど藩(まがき)に触るるの禍(わざわい)を免(まぬが)れん。
手(て)を着(つ)くる時(とき)、先(まず)は手(て)を放(なは)つことを図(はか)らば、纔(わず)かに虎(とら)に騎(の)るの危(あやう)きを脱(まぬが)れん。

一歩出る時に、一歩引くことを考えておけば、ほとんどの災いから逃れることが出来る。
事を起こそうとする時に、引き際を考えておけば、“虎に乗ったら降りられない”という危険を免れることが出来る。
つまり、達人の心得は、始める前に、終わる姿をデザインしておきなさいということ。
言い換えれば、達人は「有終の美」を考えて行動しないと、虎に乗って途中で降りれば喰われるので、乗る時には死ぬ覚悟で乗れということ。
蛇足だが、著者が台湾の李登輝前総統に、「お前は虎だから、乗るなら覚悟する」と言われ、彼は乗らず、身代りを乗せて来た事を思い出す。(原文は随書36巻)
慧智(030712)