■後集14項
寒灯無焔、敝裘無温、総是播弄光景。
身如槁木、心似死灰、不免堕落頑空。
寒灯(かんとう)に焔(ほのお)無(な)く、敝裘(へいきゅう)に温(あたたか)なきは、総(すべ)て是(こ)れ光景(こうえい)を播弄(はろう)す。
身(み)は槁木(こうぼく)の如(ごと)く、心(こころ)は死灰(しはい)に似(に)たるは、頑空(がんくう)に堕落(だらく)するを免(まぬが)れず。
無くなる寸前の蝋燭の炎すら無く、暖かくない皮の服などは、赤貧を弄(もてあそ)んでいるようにしか映らない。
体は枯れ木のようで、心の炎が消えているような状態では、一切皆空、本来無一物の本当の意味を履き違えているので、悟りの対極に行ってしまう。
つまり、達人が目指す「悟り」とは、大安心の境地であり、清貧であっても赤貧ではないのだ。
言い換えれば、空の世界観、「無の心」、即ち、真理を知らずして人生の達人とは言えないのである。
慧智(030709)